下のように、Tフリップフロップを4個直列接続すると、 16進カウンタとして動作する。 最初に外部からクロック入力を受け付ける左端のフリップフロップの出力が 最下位ビットであり、10進表記で0、1、2、...、15 となり、これを繰り返す。 2進表記では 00002, 00012, 00102, ... , 11112 であるが、ビットの並び順が回路図とは逆になるので注意を要する。
フリップフロップの遅延時間の影響で、出力が少しずつずれることに注意を要する。 このような回路を非同期式回路と呼ぶ。
段数が多い非同期式カウンタは、クロック周波数が高くなると、 遅延時間が無視できなくなり、 様々な問題が発生する可能性がある。 このため、一般には同期式のカウンタが使用される。
同期式カウンタは非同期式に比べると回路が複雑になるが、 すべてのFFが同時に動作するので非同期式に比べてすばやく動作する。
カウンタに限らずデジタル回路は大きく同期式と非同期式に分けられる。 回路の規模が小さいうちは非同期式が設計・製作ともに簡単にできるが、 回路規模が大きくなると遅延などの計算が複雑になるので、 規模の大きな回路は通常、同期式で設計される。
次の回路図のようにすれば2のN乗以外のカウンタを作ることができる。 この回路図は10進カウンタとして動作する。
右端のNANDゲートの出力は通常は1であるが、カウンタの値が 0、1、2、と進み10(Q1=0, Q2=0)になったとき、 NANDゲートの出力が0となる。 この出力は全てのフリップフロップのクリア端子につながっている。 この回路ではクリア端子は負論理であるから、0になったとき、 クリアが実行される。すなわち、カウンタの値は0になる。
タイムチャートを見れば明らかなように、短い期間であるが、 カウンタの値が10となっている。 このヒゲ状のノイズが問題にならないときはこのような簡単な方法で 2のN乗以外のカウンタを作ることができる。
後で説明する同期式カウンタではこのようなヒゲ状のノイズが生まれないようにできる。 しかし、一般に、同期式カウンタは非同期式カウンタよりも多少複雑となる。